「デジタルサイネージ」と聞いて、ビル上部に設置された大型LEDや、店頭に設置された中型ディスプレイなどをイメージされるかと思いますが、どのような仕組みでできていて、どんな種類があるかを知っている人は少ないように感じます。
今回は、デジタルサイネージの仕組みや種類について説明していきたいと思います。
デジタルサイネージの基本的な構成
デジタルサイネージは、ディスプレイやスタンドといったハードウェア、OSやアプリといったソフトウェアから構成されています。
ハードウェア関連
まずはデジタルサイネージのハードウェア部分について見ていきましょう。
ディスプレイ
ディスプレイは、デジタルサイネージの顔にあたる部分です。
小型、中型サイズの一般的な液晶ディスプレイから、大型LED、タッチパネルなど、用途によってさまざまな種類があります。
また、屋外や公共の場などに設置されることが多いため、多少の衝撃では壊れないように強化ガラスが使用されています。
スタンド
店舗などで使用される中型のデジタルサイネージは、スタンドがセットで使用されるケースが多いです。
こういったデジタルサイネージを、「スタンドタイプ」「スタンド式」「スタンド型」などと呼びます。※後述する「スタンドアローン」とは別の意味になります。

スタンドは転倒防止のため重い素材が使われており、サイズや用途によって形状はさまざまです。
ストレージ
ディスプレイに映す映像のデータを保存するストレージで、割と一般的なものが使用されています。
- USBメモリ
- SDカード
- パソコン
- 内蔵ディスク
- クラウドストレージ
- etc.
USBメモリやSDカードはデジタルサイネージに直接接続してデータを読み込ませます。
デジタルサイネージに内蔵されたストレージもあり、こちらを使用する場合は単体で使用することも可能です。
また、クラウドのストレージを利用する場合には、インターネットに接続できる環境と、コンテンツを配信するサービスやサーバーが必要になります。
STB
STB(Set-Top Box)は動画再生プレイヤー装置で、ストレージから放映するデータを受け取り、ディスプレイに表示させる機能があります。

ディスプレイに内蔵されているタイプのデジタルサイネージも多いです。
ソフトウェア関連
次に、ソフトウェアについて見ていきましょう。
OS
OS(オペレーティングシステム)は、人がコンピューターを操作するために必要なプログラムで、STBに搭載されています。
- Android
- Windows
- Mac
- etc.
中身は私たちが普段から使用しているパソコンやスマートフォンと同じだと思っておいて問題ないでしょう。
アプリケーション
アプリケーションはOS上で動作するプログラムのことです。
デジタルサイネージの場合は、動画のループ再生や、静止画のスライド再生など、「メディアプレイヤー」に関連したアプリケーションが搭載されています。
CMS
CMSはコンテンツマネジメントシステムの略で、放映するコンテンツの管理・更新をカンタンにします。
デジタルサイネージのSTBをインターネットに接続する必要がありますが、いつでもどこでもパソコン1台でコンテンツを更新したり、細かなスケジュールを設定したりできます。
複数店舗での運用の場合は、CMSを導入することで運用コスト削減に繋がるでしょう。
デジタルサイネージの大まかな分類
デジタルサイネージは、大まかにスタンドアローンタイプとネットワークタイプに分類されます。
スタンドアローンタイプ
スタンドアローンタイプは、インターネットに接続する必要がなく、デジタルサイネージ単体で運用することができます。
オフィスや店舗など、1拠点で運用する場合に適しています。
運用例
- パソコンでコンテンツを作成します。
- USBメモリにデータを保存します。
- デジタルサイネージにUSBメモリを接続します。
- 電源を入れて、ディスプレイに表示させます。
メリット
- インターネットに接続する必要がないので、回線コストがかからない
- シンプルな仕様なので扱いやすい
デメリット
- コンテンツの更新に手間がかかる
- 複数拠点での運用に向かない
ネットワークタイプ
ネットワークタイプは、CMSなどを利用して運用します。
チェーン展開している店舗など、複数拠点で運用する場合に適しています。
運用例
- パソコンでコンテンツを作成します。
- サーバーにデータをアップロードします。
- スケジュールを設定します。
- デジタルサイネージの電源を入れて、ディスプレイに表示させます。
メリット
- 複数のデジタルサイネージを一元管理できる
- コンテンツの更新も一括で行うことができる
デメリット
- インターネットの回線のコストがかかる
- 回線が途絶えると、表示されなくなる可能性がある
インタラクティブタイプ
インタラクティブ(双方向)タイプは、ネットワーク型+対話型のデジタルサイネージです。
センサーやタッチパネルなどが搭載され、人を感知したときに表示を切り替えたり、タッチすることで体験を提供したりできます。
メリット
- 従来の一方通行の情報提供ではなく、ユーザーとコミュニケーションを取ることで体験を提供できる
デメリット
- インターネットの回線のコストに加えて、システムやハードウェアの費用が高い
デジタルサイネージの細かな種類
スタンドアローンタイプやネットワークタイプの中でも、用途やシーンによってさまざまな種類があります。
屋内用のデジタルサイネージ

屋内用デジタルサイネージは、屋外で使用できませんが低価格なのが特徴です。
屋内だけで運用する場合、まずは屋内用のデジタルサイネージを検討するのが良いでしょう。
屋外用のデジタルサイネージ

屋外用デジタルサイネージは、屋外で使用できますが高価格なのが特徴です。
- 防水・防塵
- 防熱
- 高輝度ディスプレイ搭載
屋内用に比べて雨風や日光に対策する必要があるため、防水・防塵用のケーシングやヒーター、太陽光に負けない高輝度のディスプレイが搭載されています。

画像のように大量の水を当てても故障しませんし、画面が非常に明るいのが分かりますね。

ただし、ヒーターの放熱はやけどのおそれがあるので、取り扱いには十分注意する必要があります。
スタンドタイプ

スタンドタイプは、液晶ディスプレイとスタンドをセットで使用するデジタルサイネージです。
主に看板や案内板などに活用されています。
また、スタンド下部のスペースを利用して、お店のメニューを置いたり、営業時間の案内を貼ったりすることもできます。
壁掛けタイプ

壁掛けタイプは、ディスプレイを壁に取り付けて使用するデジタルサイネージです。
お店の壁などに設置して雰囲気作りをしたり、施設の案内掲示板にしたりと、さまざまなシーンで活用されています。
ただし、下記のような専用の金具を取り付けるため壁に穴をあけるので、設置する際は要検討ですね。

さまざまな組み合わせを検討する
デジタルサイネージにはいろんなタイプがありますが、実際に導入を検討する際には用途にあったものを選択する必要があります。
- どんな場所で使うのか
- 何を表示させるのか
- どのように使うのか
- etc.
飲食店の例
例として、飲食店の看板に使用したい場合を考えてみましょう。
- 1拠点運用なのでスタンドアローンタイプ
- 店頭に設置して看板にしたいので屋外用
- なるべく目立たせたいので中型サイズディスプレイ
- 移動が楽なスタンドタイプ
こういった要領で、本当に必要なデジタルサイネージを見極めていきたいですね。
おわりに
ここまで、デジタルサイネージの基本的な仕組みや種類などについて説明してきました。
意外に種類豊富で驚かれた方も多いのではないでしょうか。
しかし、近い未来にはもっといろいろな場所で活用され、高性能・高機能のものが次々に登場することでしょう。
時代の最先端を行く広告媒体として、今後とも注目していきたいですね。